日本人がお金儲けが下手な理由
日本人はお金儲けが下手だとよく言われる。この話は大筋合っていると思ってよいだろう。日本人がお金儲けが下手な理由として、欧米人や華僑が、強引で自己中心的だからだと思ったなら、その考え方は改めた方がよい。現実はその反対であることが多いのだ。
言い回しは問題ではない。重要なのは中身
多くの日本人は、自分たちのことを謙虚な民族だと思っている。同時に、外国人のことを自己中心的だと考える傾向が強い。
だが、筆者が外国人とビジネスをしてきた経験からすると、これは単なるイメージに過ぎない。現実の交渉場面では、日本人の方が、一方的に自己主張するケースが多いのだ。
確かに日本人はストレートに自分の意見を言わない。
「当方の考えをご理解していただきたく」「こちらの事情もご理解いただき」「御社のご意見もごもっともですが」など、曖昧な言い方をするケースがほとんどである。
曖昧で持って回った言い方をすることを謙虚と定義するなら、日本人は謙虚ということになるのだろう。だが、ビジネスで重要なのは、どんな言い回しだったかではなく、何を言ったかである。
上に列挙した3つの言葉は、言い方こそ、へりくだっているが、基本的に「こちら側は譲歩するつもりはない」という意味であることに違いはない。どんなに言い方でごまかしても、交渉には応じないと相手に言い放っているのと同じなのである。
これに対して、欧米人や華僑は、ストレートに自身の要求を主張するケースが多いが、それに対して、こちらがある条件を提示すると、今度はそれを受けて、再度、新しい条件を提示してくるなど、交渉のキャッチボールが成立する。
相手を理解しなければ、交渉などできない
確かに言い方はストレートかもしれないが、キャッチボールが成立するということは、少なくとも、相手はこちらのことを考え、一定の妥協をしている。
言い方はへりくだっているが、一切、交渉に応じないのと、言い方に遠慮はないが、新しい条件を提示してくる人のどちらが自己中心的だろうか。答えは明らかだろう。
こうした一方的な交渉ばかりしていては、どんなにへりくだった言い方をしても、ビジネスはうまくいかない。日本人がビジネス下手といったのはこうした理由からである。
ここでは日本人と外国人の話をしたが、この話は日本国内にも当てはまる。
交渉というものについて、相手を強引にねじ伏せることだと思っている人が多いのだが、それは間違いである。交渉というのは、相手の主張を理解し、その上でこちらの要求を相手に伝えることである。怒鳴ったり、泣き落としをすることではない。
交渉をうまく成立させるためには、まず、相手が何を欲しがっているのか、的確に理解する必要がある。相手に媚びる必要はまったくないが、相手を理解しないことには何も始まらないのだ。
重要なのは、へり下ったり、慇懃無礼な言い回しをすることではなく、自身の要求と相手の要求を比較することである。自分が相手の立場だったらどうするかを常に考え、合理的に判断を下す必要がある。
これができれば、必ず双方が納得できる妥協点というものを見つけ出すことができるはずだ。逆にいえば、ここまで考えた上で、交渉を行って妥協点が見いだせないなら、その取引は成立しないということになる。
一方的に要求を突きつけるばかりの人は、交渉が成立しないと、すべて相手のせいだと考えてしまう。これでは、どこかのタイミング行き詰まってしまうのは明白である。
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