舛添知事に庶民感覚がないという話はウソ。お金持ちから見ると彼の行動は典型的な庶民
舛添要一東京都知事の経費問題が大騒動になっている。当初は別荘がある湯河原まで公費を使ったハイヤーで移動していたことが問題視されていたが、政治団体の資金を個人的な旅行に使っていたなどの疑惑も出てきており、このコラムを書いている段階では予断を許さない状況となっている。
自身の支出を会社の経費で処理しようとする人は基本的に貧乏人体質
舛添氏に対しては「庶民感覚が欠如している」「税金ドロボー」などと激しい批判が寄せられている。週末、別荘に向かう際に公費のハイヤーを使うというのは、許容される範囲を超えており、批判されるのは当然だろう。
ただ、こうした彼の行動に対して「庶民感覚がない」というのは少し違うかもしれない。お金持ちの目線から見れば、舛添氏の行動は典型的な庶民であり、むしろ庶民感覚丸出しである。
舛添氏は都知事なのでハイヤーが使えるし、経費の金額も大きくなるので、特権階級的に見えるのかもしれない。だが、要するに彼がやっていることは、自分の飲み食いの支出を会社の経費で落とすという行為であり、お金持ちがすることではない。ケチなサラリーマンが日常的にやっていることと、基本的に同じ類いのものである。
本コラムでは何度か指摘しているが、自分の支出を会社の経費で落とそうと血道を上げる人は、基本的に貧乏人体質である。会社の経費に血眼になっているということは、目の前のお金が最優先ということを意味している。
大金を稼ぐには、戦略的に大きなものにお金を投じる決断が必要だが、このようなことをやっているうちは、思い切った行動には移せないだろう。
湯河原の別荘は昭和な人にとってはあこがれの的?
舛添氏の様子が少し哀しげに見えるのは、週末に湯河原の別荘に通うという、いかにも「昭和」な行為を、政治家としての旬を過ぎた今になって、そして、これを組織の経費で実現しようとしている点である。
問題の別荘は、舛添氏が自身の会社を通じて1999年に購入したものである。当時、舛添氏はタレント学者だったのでかなりの収入があったはずだ。都知事選に落選した年でもあり、ひとつの区切りとして夢を実現したかったのだろうか。
湯河原はかつて文人が別荘などを構えていたことで知られる街で、古い世代の人にとって、週末をここで過ごすことは一種の憧れのであった。
その後、舛添氏は国会議員となったが、政界再編の波にもまれて行き場を失い、今回、非常にラッキーな形で知事に滑り込むことができた。ようやく安定した名誉と地位を得ることができ、少し贅沢をしたくなったのかもしれない。彼がそれなりの年齢になったことも影響しているだろう。
だが、それを経費でというのが何とも哀しすぎる。彼がまだ政治家として旬を過ぎておらず、大きなお金を動かせる立場にいれば、このような行為には走らなかったかもしれない。舛添氏はかつてはお金持ち体質だったのかもしれないが、今となっては、それも完全に過去の話である。
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