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手書きの手紙で依頼する人は仕事がデキないという発言をどう理解すべきか

 

 手書きの手紙で依頼してくる人は「仕事ができない人」だという、若手社会学者・古市憲寿氏の発言が話題となっている。この手の話は、本コラムでも何度か取り上げているが、コミュニケーションの手段に関する議論について、お金持ちという観点から得られる結論はただ一つである。

電話も苦手で、手紙を書く人とは一切仕事をせず
 古市氏は、あるテレビ番組で「電話で依頼するような人とは仕事をしたくない」「電話よりも一番嫌なのは手書きの手紙とかで、依頼が来ると、その人とは一切もう仕事をしないって決めてます」と発言した。テレビ業界において彼に求められているキャラからすれば、予定調和的な発言ではあるのだが、案の定、この発言には賛否両論が寄せられている。

 ここでは、いつものように、テーマそのものに関する是非は論じないが、お金持ちという視点から言える事はただ一つ、お金持ちになりたければ、内容の如何に関わらず相手の好みに合わせるしかないという現実だけである。

 顧客と連絡を取りたいと思った時、電話を望まない相手に電話をかけるなど愚の骨頂である。一方、手書きの手紙だと喜ぶという人も一定数存在している。そのような人には、当然のことながら、手書きの手紙を出せばよい。コミュニケーション・ツールに何を用いるのかについて、べき論を持ち出すこと自体がナンセンスなのだ。

 もっと露骨に言えば、現在、テレビで引っ張りだこの古市氏は、社会的強者ということになる。彼の立場が今後も安泰なのかは分からないが、少なくとも現時点においては仕事や付き合う相手を選べる立場にある。どうしても古市氏と仕事をしたいのであれば、電話や手紙は避ける以外に方法はない。

 実は連絡手段というのは、権力構造の記号として作用している面が多分にある。どの連絡手段をどちらから用いるのかで、双方の権力関係が可視化されるという仕組みである。

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コミュニケーション手段とは権力の記号?
 筆者は手紙でのコミュニケーションも否定はしないが、権力構造としてこれを捉えるなら、相手に関係なく、電話や手紙など、心のこもった方法でコンタクトすべきだと主張している人には少々問題がある。

 なぜなら、どんな相手にも手紙を送っている人や、電話をかけている人というのは、相手も自分に対して同じように丁寧に接して欲しいという願望を心のどこかで持っている可能性が高いからである。
 しかし、顧客など、自分が売り込まなければならない相手に対して、自分が持っている気遣いと同じものを要求するというのは少々スジ違いである。それでは、顧客の求めているものを提供していることにはならない。

 ビジネスというのは相手が求めるものを適切に提供することで初めて成立する。相手が求めているものがLINEを使った簡便なコミュニケーションならそれを提供するのが、売る側の鉄則である。
 こうした合理的な発想ができる人は、確実に収益の機会をモノにすることができるだろう。またこれができる人は、必要とあらば、普通の人ではとても真似のできない、毛筆のしかも達筆な手紙をしたためているに違いない。

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