お金持ちは共通のルールを重視する。貧乏人は個人的なモラルを重視する
社会におけるルールとモラルは似ているが、実は全く異なる概念である。ルールは合意の上で決められた契約だが、モラルは自分自身の内面の問題である。
お金に縁のない人は、ルールとモラルを混同しがちである。そしてたいていの場合、ルールではなく個人的なモラルのみを行動原理にしているのだが、これではお金とは縁遠くなるばかりだ。
市議の同性愛差別発言から分かること
最近、ある市議が「同性愛者は生物の根底を変える異常動物」と発言し批判されるという出来事があった。発言内容そのものは、あまりにも低レベルで議論の対象にすらならないものだが、発言の前後を見ると興味深いことが分かる。
問題発言をした市議は「異常動物」発言の前に、「マスコミは倫理感に欠けている」と発言し、その例として同性愛を取り上げている。つまり市議は、同性愛について基本的にモラルの問題として認識しているようである。
愛情に関して個人がどのような価値観を持とうがそれは自由である。ちなみに価値観の自由というのは民主主義社会のルールであってモラルではない。同様に、他人の価値観を尊重するというのも民主主義社会のルールである。こうしたルールの結果として、他人に対する誹謗中傷は許容されていない。
つまり社会はルールがあってはじめて安定的に運営することができる。これはビジネスの世界でもまったく同じことである。
だが市議は、ルールという概念がなく、徹頭徹尾、自身の勝手なモラルにしたがってのみ行動しているようだ。だが、人間などそう立派なものではない。自身のモラルだけに従って生きていたら、多くの人はロクでもない行動を取るようになるだろう。
ルールがあるからこそ、信頼感が生まれる
この話はビジネスなどお金儲けの世界にも共通のテーマである。ビジネスの世界では、人と人や、法人と法人でパートナーシップを組むケースは多い。お金儲けが下手な人は、ほぼ例外なくパートナーシップの構築が下手なのだが、ここにもルールとモラルの問題が関係している。
基本的に他人は信用できない存在である。そうであるからこそ、事前に契約書を交わし、そのルールに従って行動するという考え方が成立する。むしろ、そうした発想ができることの方がビジネスの世界ではモラルが高いとされる。
だがこうした契約関係を好まない人も多い。事前にお金の話をしないままプロジェクトを進めてしまい、必ずと言ってよい程、後になってからこんなはずではなかったと揉めることになる。これでは経済的に成功する確率が低くなってしまうのは当然のことである。
だが日本社会ではルールを守ることよりも、モラルを守る事の方が重視される。だがモラルは基本的に内面の問題であり、人によってその内容はバラバラである。しかも統一した基準がなく、状況によって大きくブレることがほとんどだ。
何が大丈夫で何がダメなのかはその場の雰囲気で決まってしまうことになるため、人々が過剰に自己のモラルを主張すると、かえって他人を信用出来ない社会となってしまう。
経済的に成功するためには、他人と自分は異なる存在であるということを認識し、ルールに基づいて行動するという原則が重要である。こうしたルールがあるからこそ、見ず知らずの他人を信用することができるのだ。
事前にルールを定めず、後になってからモラルがないなどと批判する人の方こそ、モラルが欠如しているのである。お金持ちになりたければ、そのような人とはできるだけ関わらないことだ。
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