お金持ちにとって、真実とは自分の外にあるもの
真実は世の中にひとつだけと思われているが、実際は違う。人によって真実の定義が違っているからだ。お金持ちになれる人は真実は自分の中にはないと思っているが、お金持ちになれない人は自分の中に真実があると思っている。この違いが、両者の経済的な分かれ目となる。
仮説が情報バイアスによっていつのまにか真実に
このように書くと、自分の中に真実があると思っている人などいない、と思うかもしれない。しかし現実はそうでもないのだ。例えばお金持ちのなるための真理について考えるケースを想定してみよう。
人は「こうすればお金持ちになれるのではないか?」と仮定し、実際にそうなのか、人から話を聞いたり、本を読んだりして(つまり客観的な情報を得て)、自分の仮説と照らし合わせていく。最終的に自身の仮説を修正したり、さらに客観的な情報収集を行って、最終的に「これが真理だ」というところに収束していく。
しかし、ここで「真実はこうあって欲しい」という願望が強いと、客観性を担保するための情報収集にバイアスがかかってくる。知らず知らずのうちに、自分が欲しい情報だけを収集してしまい、まったく逆の結論を導き出すということが起こり得るのだ。
特に外から与えられる情報が、すでに自分が知っていることだったりすると、無条件で「そんなこと俺は分かっている」「くだらない話だ」といって拒絶してしまうのだ。その結果、仮説だった話が変容してしまい、いつしか、自分の思いが真実に変わってしまう。
真逆の結論を出してしまう人
筆者が高校生の頃、国語の授業でノーベル賞を受賞した学者の評論が取り上げられたことがあった。その学者は、テクノロジーの発達は社会に様々な影響を及ぼすが、人間は進歩する動物であり、テクノロジーに負けてはいけない。テクノロジー以上に人間の知性を進化させていく必要があると主張していた。
授業の最後に教師がある生徒を指して「この評論は何を言おうとしているのか簡潔にまとめろ」と指示した。その生徒は何と、テクノロジーは危険なものであり、様々な事故は、人類に対する警鐘なのだと平然と回答したのだ。
ちなみに筆者が通っていた高校は、地方では進学校と呼ばれるところで、その本人も最終的には、いわゆる有名大学に進学していった。
おそらく彼の中には、テレビ番組などでよくある、科学技術の発達=悪=人類への警鐘、というパターンが刷り込まれていたのだろう。
その評論文は、小学生でも分かるような単純なメッセージにはなっていなかったので、文章を読んでも先入観が邪魔して、真逆に理解してしまったようである。このような人物でも、日本の教育システムでは一流大学に入ることができるのだ。
だが残念ながら、先入観で結論を曲げてしまう思考回路では、経済的に豊かになることは難しいだろう。お金持ちになれる人は、常に仮説が願望によって真実に変化していないか自分自身を警戒している。それに対してお金に縁のない人は、自分自身を疑わない。
結局のところ、お金持ちにとっての真実は自分の外にあり、貧乏人にとっての真実は自分の中に存在するのだ。
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