お金持ちは所有を重視する。貧乏人は占有を重視する
同じように見えるが、占有と所有は異なる概念である。占有は自分が支配している状態のことを指す。所有は正式に自分の持ち物になっているという意味である。
お金持ちの人は、所有にこだわるが、貧乏人は占有にこだわる。この違いが経済的な格差となって表れてくる。
自腹を切った高級車と会社が用意したハイヤー
サラリーマンを辞め会社を設立したある人物が、業界の会合に顔を出した時、自分が所有するロールスロイスに乗って会場に行ったところ、セルシオなど、黒塗りのハイヤーに乗ってやってきた、他の会社のサラリーマン社長達から批判されたという話を披露していた。
その業界の顔役になっている人物がセルシオなのに、ロールスロイスで来るのは無礼でケシカランという理屈である。その社長は、「あなた方のセルシオは会社の経費ですよね。私は自腹でこの車に乗っています。何か問題でもあるのでしょうか」と言い放ち、さらに顰蹙をかったそうである。
おそらくこの社長は、業界団体の閉鎖的な体質が気に入らず、あえてこのような攻撃的な態度を取ったものと思われる。ただそこには、会社の経費にしがみつく貧乏体質なサラリーマン経営者と、自腹で高級車を用意できる資本家の意識の違いがくっきりと見て取れる。
会社の経費はあくまで会社のものであり、基本的にムダ使いは許されない。だが役職が上になると、交際費がいくら使える、会社の経費で車を用意してもらえる、など、少しだけ無駄使いが許される。
つまり会社のお金は所有できないが、経費を一部だけ占有することができるのだ。このわずかなムダ使いをめぐって、皆、ガマンにガマンを重ねて出世に血道を上げているのだ。そんな状況を資本家氏は痛烈に皮肉ったというわけである。
本を返さない人と同じ思考回路
会社の経費を使って飲み食いしようという人は、基本的にお金持ちになりにくい。自腹を切らないと、モノやサービスの本当の価値はわからず、そんなことを繰り替えていると金銭感覚がマヒしてくるからである。
最後には、会社の経費をいくら使えるのかを自慢するという悲しい状況に至る。所有ができず、占有することでしかアイデンティティを示せない人の末路と言ってよい。こうなってしまうと、もはや自力でお金持ちになることはまず不可能である。
同じようなケースに、借りた本を返さない人があてはまる。自分が使っているとはいえ、借りた本の所有者は本の貸し主である。だが借りたまま、本を返さない人は、自分に所有権がないことに対する感覚が希薄だ。しかし、自分は本に直接触れているので、占有しているという感覚は強い。この結果、本をなかなか返さないのである。
同様に、本を借りたままの人は、相手が自由に本を読むという時間を自分が奪っているという感覚にも乏しい。時間には値段がついており、相手の時間を奪ったら、対価を支払わなければいけない。レンタル料とはそういった種類のものである。
つまり所有についての意識が希薄な人は、金銭価格そのものが乏しい可能性が高いのである。お金の感覚が鈍い人が、お金儲けできないのはある意味で当然の結果といえるだろう。
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