いいモノを作れば売れるという話はなぜ間違っているのか?
ビジネス世界では「いいモノを作れば売れる」という考え方と「いいものが売れるとは限らない」という考え方で対立することがある。果たしてどちらが正しいのだろうか。
トヨタが儲かっている本当の理由
結論から言うと、どちらも正しい。「いいモノを作れば売れる」というよりも、いいモノでなければ、大きく売れることはないと言い換えた方がよいかもしれない。大きくお金儲けをするためには、いい製品やサービスを提供することは最低限の条件となる。
問題は、いいモノであっても、きちんと売る努力をしないと売れないという部分である。ここでよくある勘違いが、強引なセールスなど、強制的に「売る仕組み」を作らなければならないと思ってしまうことである。売るための努力というのはそのような意味ではない。
もっとも重要なことは、本来、勝負すべき土俵である「いいモノ」というところに顧客をいかにたどり着かせるのかということである。
トヨタ自動車は、安くていい車を作っているので儲かっている。それは事実である。だが同社がこれほどの利益を上げているのはそれだけが理由ではない。売るための工夫が随所に施されているからこそ、大きな商売ができるのだ。
それは一見、営業とは関係ない部分にまで及んでいる。
商品やサービスを評価してもらう段階まで誘導できなければ意味がない
同社は、自動車や部品の運搬ルートのひとつに鉄道を用いている。だが同社がJR貨物に実際に運搬を依頼するまでには1年以上もかかったといわれている。その理由は、トヨタがJR側に対して、1年間もの間、毎日うまく運搬できるのかテストすることを要求したからである。
なぜ1年なのかというと季節要因を考えているからである。雪が降る日もあれば、雨が降る日もある、洪水になる時もあるし、台風がやってくることもある。1年間、毎日テストしないと、本当に輸送手段として使えるのかどうか分からないというのである。
同社にとって鉄道は、数ある輸送ルートのひとつに過ぎないので、仮に多少のトラブルがあっても、同社のビジネスに影響がでるわけではない。
しかし、納車が遅れたり、在庫に大きな変動があったりすると、最終的に顧客の評判に跳ね返ってくる。つまり、車という商品そのものの勝負ではなくなってしまうのだ。
売っている商品について評価して欲しければ、それ以外の部分でストレスや不満を顧客に持たせてはいけないのである。
レストランでどんなにおいしい料理を出しても、電話予約や入り口での対応がずさんであれば、料理を評価する段階に到達する前に、顧客の評価はマイナスになってしまう。
いくら外見は関係ないとっても、経営状態が不安定そうに見えてしまったら、その会社はすでに負けである。
いいモノを提供するのは当たり前のことである。重要なのは、その「いいモノ」を評価してくれる段階まで顧客を誘導することなのである。
【参考記事】
「親の年収が高いと学校の成績がよいというのは本当か?」
【関連サイト】
「なぜあなたは出世できないのか?」
「投資で成功するために絶対知っておくべきこと」
「起業・独立で成功するために知っておくべきこと」
「放射能から身を守る食品サイト」
「記事にできないホンネを集めた脱力系裏ニュースサイト」
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