リスクを取るということの意味
お金持ちになるためにはリスクを取る必要がある。これは究極の真実であり、絶対的な法則といってよい。よほどの運に恵まれない限りは、リスクを取った人にしか大金はめぐってこない。
だがリスクを取るといっても、むやみにバクチをすればよいというものではない。バクチばかりしていては、確実に破産してしまうだろう。リスクを取るためにはリスクを取る部分をしっかり見極める必要があるのだが、これが意外と難しい。リスクを取る部分さえしっかりと認識できるようになれば、成功に一気に近づくことになる。
リスクを取るべきポイントというものがある
一般にリスクを取るべき部分というのは、その事業や投資においてキモとなり、かつ、どんなに調査したり想像してもはっきりとした解答が得られないところである。この部分については、最後はエイヤッと思い切って決断するしかないのだ。
言い換えれば、すべて理詰めで考えに考え抜き、最後の残った未解決部分こそがリスクを取るべきポイントということになる。リスクの取り方で失敗する人は、本来リスクを取るべきところでうまくリスクを取れなかったり、逆にリスクを取ってはいけないところで賭けに出てしまう。
リスクを取るべき点は、ある程度経験を積むとそれなりに分かるようになってくる。だが実際に経験しなくても、ある程度のトレーニングすることは可能だ。他人のビジネスや投資の話から、どこがリスクをとるべきポイントなのか、自分なりにシミュレーションしてみるとよいだろう。
ここでは最近好調な展開が続いている「俺のイタリアン」「俺のフレンチ」のビジネスを例にとって考えてみよう。
具体例で考えてみると
俺のイタリアン、俺のフレンチは、ブックオフの創業者である坂本孝氏が展開する話題のレストランである。高級店と同レベルの素材を使い、一流のシェフが調理する料理が5000円で食べられるとあって、どの店舗も連日長蛇の列となっている。
この店の売りは、高級店の食材と一流シェフの料理が低価格で味わえるという点である。
通常レストランの原価率は3割程度だが、この両店の原価率は6割を超えている。当然利益は少なくなるので、店全体としては回転率でカバーするしかない。
立ち飲み、立ち食いという、イタリアンやフレンチの常識を破るスタイルを提唱し、3回転(すべてのお客さんが入れ替わることを1回転という。3回転はその3倍)という圧倒的な顧客回転数で必要な利益を確保する。
原価率を上げれば顧客にとってお得感が拡がり、満足度が高くなることは、容易に想像できるし、多くのビジネス書にもそう書いてある。
また原価率よりも回転数がより重要であることも多くの本に書いてある。ビジネス書を読むまでもなく、エクセルでちょっとシミュレーションすれば誰にでも分かることだ。
重要なのは、立ち飲みスタイルで顧客を3回転させるということが本当に可能なのかという点である。行列ができるほど顧客が押し寄せないと1日に3回転は無理である。
実現可能かどうかはビジネス書には書いていないし、誰に聞いても分からない。この事業のリスクはまさにここにある。このリスクを取れるかどうかがポイントであり、逆にいうとこれ以外の部分でリスクを取ってはいけないのだ。
坂本氏は事業のプロなのでこのあたりの感覚はお手のものだっただろう。今回は大成功という結果だったが、もしやってみて顧客が思ったより集まらなければ、坂本氏はさっさと徹底していたに違いない。撤退が容易に決断できるのは、リスクを取るべき点をしっかりと理解していればこそである。
この事業の内容や仕組みについては坂本氏が自著「俺のイタリアン、俺のフレンチ」にくわしくまとめている。当サイトでは、特定の書籍などを推奨することはあまりしていないのだが、この本は、経営者の生の声が反映されており、非常に参考になる。あくまで坂本氏による主観的な内容であることが前提だが、読んでおいて損はない。
【参考記事】
「お金持ちは相手に期待しない」
【関連サイト】
「なぜあなたは出世できないのか?」
「投資で成功するために絶対知っておくべきこと」
「起業・独立で成功するために知っておくべきこと」
「放射能から身を守る食品サイト」
「記事にできないホンネを集めた脱力系裏ニュースサイト」
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