世界のお金持ちネットワークの実態とは?
海外のお金持ちには、お金持ちどうしの世界的なネットワークがある。ただそれは、多くの人がイメージする社交界のような華やか世界ではないようだ。
世界には、お金持ちの人たちに対してだけ様々なサービスを提供する銀行というものがある。プライベートバンクと呼ばれていて、最低でも億単位の資産を持った人だけがお客さんという敷居の高いところである。
ここでは、お金持ちの人たちの資産運用だけでなく、子供の教育、不動産管理の支援、相続のアドバイスなどお金持ちの生活をまるごとサポートしている。
「世界のお金持ちの人たちのネットワークというのは、社交界でダンスをしているというような優雅なものではありません。もっと生々しくてキナ臭いものです」と語るのは、国際的なプライベートバンク業務に詳しい金融コンサルタントのD氏である。
D氏によれば、「例えば、アジア諸国など、かつて欧米の植民地が多かった地域では、今でもお金持ちの人たちと旧宗主国との関係は密接で、政治的にも経済的にもいろいろとウラがある」のだそうだ。
例えば、ここ数年政変が続いてるタイでは、元首相でタイの大富豪であるタクシン氏が、政治的に敵対している前首相との抗争に破れ亡命するという事件があった(現在の首相はタクシン氏の妹)。
タクシン氏が亡命した先は、英国のロンドンだった。
タイ-香港-ロンドンを結ぶラインが意味するもの
タイは日本と同じようにアジアでは数少ない独立を維持してきた国である。だが、何度も英国の干渉を受けており、英国とタイの関係は微妙だった。
他国を支配しようとする国は、その国の有力者(お金持ち)たちをうまく利用して支配しようとする。お金持ちの人たちは逆に強国を利用しようと画策する。時には対立したり、ウラ取引きしたりしながら、お金持ちの人たちはウラで密接なネットワークを構築していくのである。
日本も例外ではない。明治時代、日本は日清戦争で得た賠償金(金の延棒)をもとに金本位制をはじめたことになっているが、本当は違う。金ではなく当時の基軸通貨であるポンドを受け取り、しかもそのポンドは全額ロンドンの銀行に保管されていた。日本にはビタ一文現金は入ってきていないのだ。
ところで、タイのお金持ちには華僑系が多い。タクシン氏も華僑である。
華僑はもともと中国人で華僑の拠点のひとつは香港だ。香港は英国の植民地で世界の金融マーケットの中心地のひとつになっている。タイ-香港(シンガポール)-ロンドンというルートでウラではつながっているのだ。
「グローバルなお金持ちがみせるもうひとつの顔」でも述べたが、華僑の人は国を信用していない。家族を世界に分散させて一族の安全を確保しようとする。ちなみに、タクシン氏のお嬢さんはロンドンの大学に留学している。
ダイアナ妃をめぐる大富豪たちの深い闇
チャールズ皇太子と離婚して、後にパリでナゾの事故死を遂げたダイアナ妃の婚約者ドディ・アルファイド氏も同じような世界のお金持ちネットワークに属する人だった。
アルファイド氏の父親はもともとエジプト人(のちにイギリスに帰化)で、貿易で財をなした大金持ちである。
イギリスに帰化したあとは、有名百貨店のハロッズ(日本でいえば三越のようなブランドのあるデパート)を買収してオーナーになった(アルファイド氏はパリのホテルリッツも所有している)。またドディ氏の母方の叔父はサウジアラビアの悪名高き武器商人であった。
お金持ちのネットワークは華やかだがコワい世界でもあるのだ。
ちなみに、かつてKENZOのブランドで世界的に有名になったデザイナーの高田賢三氏も、ヨーロッパのお金持ちグループに入ることができた数少ない日本人のひとりだ。だが、いろいろな人に騙されて一時は全財産を失ったこともあった。
というわけで、優雅に見えて実は野蛮なお金持ちジャングルを生き抜くために、国際的なネットワークを持つ無国籍なお金持ちの人たちは子供の教育にも気を使う。
濃すぎる人たちが集まるスイスの国際学校
スイスにはこのようなお金持ちたちの子供を専門に教育する寄宿学校がたくさんある。このような学校には世界中のお金持ちの子供が集まっている。
このような学校に通う子供の親は、ヨーロッパの貴族、武器商人、アラブの石油王、アジアの土地持ち、アフリカのダイヤモンド長者などなんでもござれだ。
ここで培われた人脈は、将来お金持ちどうしの強固なネットワークとして機能するのだ。それと同時に、騙されないための目利きと強い意志を培うのである。
スイスの学校にはちょっと特殊なお金持ちの人も入学してくる。北朝鮮の故金正日総書記の後継者となった金正恩氏も、入った学校には諸説あるものの、スイスの国際学校に通っていた。
日本人の子供でスイスの国際学校に入学する人は少ないが、最近の日本経済の低迷でこのような学校への入学を真剣に検討するお金持ちも増えてきているらしい。
スイスの国際学校の卒業生として有名なところでは、デザイナーの森英恵氏の子息である森顕氏(モデルの森泉のお父さんといった方がわかりやすいか)や、日本を代表する建築家である丹下健三氏の子息、丹下憲孝氏などがいる。
【参考記事】
「グローバルなお金持ちが見せるもう一つの顔」
【関連サイト】
「なぜあなたは出世できないのか?」
「投資で成功するために絶対知っておくべきこと」
「起業・独立で成功するために知っておくべきこと」
「放射能から身を守る食品サイト」
「記事にできないホンネを集めた脱力系裏ニュースサイト」
関連記事
-
-
これからの時代は通勤そのものがリスクとなる
4年ぶりの大雪となった東京都内では、22日午後に一斉にサラリーマンが帰宅したこ …
-
-
お金持ちは上流階級なのか?
お金持ちの人のことを上流階級と呼ぶことがある。一方で、いくらお金を持っていても …
-
-
立場が弱いうちは客を選ぶな
お金持ちになるためには、取引する相手を選んだ方がよいだろうか?それとも相手を選 …
-
-
疑問に思う人はお金持ちになりやすい
お金持になるために重要となるマインドのひとつが「疑問」を持つことである。新しい …
-
-
いい人はお金持ちになれないが、誠実な人はお金持ちになれる
世の中には、いわゆる「いい人」がたくさんいるのだが、彼らがお金持ちになることは …
-
-
お金持ちになるのにアニマルスピリットはいらない
お金持ちになるにはアニマルスピリットが必要といわれる。アニマルスピリットとは、 …
-
-
負けず嫌いの人はお金持ちになれない
日本ではお金やお金儲けを嫌悪する風潮は強い。だが、お金そのものやお金儲けについ …
-
-
原因と結果を混同してはいけない
世の中には原因と結果を混同している人が実に多い。例えば残業なしで高い利益を上げ …
-
-
無謀なことをするのとリスクを取ることは違う
世の中にはリスクを取ることは無謀なことをすることと勘違いしている人がいる。その …
-
-
クルーグマン教授のオフレコ破りから考えるお金持ちになるための交渉術
オフレコが前提で安倍首相と会談した経済学者のポール・クルーグマン教授が、会談内 …
- PREV
- グローバルなお金持ちが見せるもう一つの顔
- NEXT
- チビ・デブ・ハゲには逆らうな