お金持ちの教科書

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お金持ちは常に恐怖に怯えている

 

お金持ちの恐怖は計り知れない

 貧乏人の僻みではなく、お金持ちが不幸だと言うのはある意味で本当だ。たくさんのお金を持ってしまうと、それを失ってしまうのではないかという恐怖から逃れられないという。

 サラリーマンを経てゼロから会社を立ち上げ資産家となったSさんは、今では億単位の財産を持っているが、まったく安心感を得られないどころか、ますます不安になっている。
 
 Sさんが会社を立ち上げたのは、ある程度の財産を築いて安心した人生を送りたかったからだ。「サラリーマンは安定しているといいますが、自分が病気になったりして働けなくなったら一巻の終わりです。自分自身にだけ依存しないような仕組みが欲しかったんです」(Sさん)。

 確かに、Sさんはいくつかの事業を軌道に乗せたことによって、たとえ病気になっても今の生活水準を維持できる仕組みを手に入れた。だが、今度は別の不安がSさんを苦しめている。今の事業がだめになってしまったら、自分には何もなくなってしまうのではないかという恐怖だ。
 
 心理カウンセラーのN氏によれば、Sさんのようなケースはごく当たり前のものだという。人間の欲求には限りがなく、ひとつの課題を克服したと思っても、すぐに次の課題で頭を悩ませてしまう。これはお金持ちに特有というよりも、「多くの人に見られる傾向」(N氏)ということだ。ただ、お金持ちの場合には、失いたくないものあまりにも大きため、お金を無くすのではないかという不安な気持ちは想像を超えるもになるらしい。

作家が自殺する理由
 お金とは少し違うが、文芸評論家で慶応大学教授の福田和也氏が面白いことを言っている。作家はよく自殺をするが、本当に文学的な理由で自殺する人は稀だという。
 ほとんどは、自分の作品が売れなくなり、最後は働かなければならないのではないか、ということに対する恐怖で自殺に追い込まれるのだ。特に社会人経験がなく、いきなり作家になった人にとっては、世の中でフツーに働いた経験がないため、仕事をすることに対して異常な恐怖を感じるという。
 
 日本を代表する天才作家、芥川龍之介も例外ではない。

実は不安は「ぼんやり」していなかった?

 司馬遼太郎氏によれば、芥川の自殺の原因とされている「ぼんやりとした不安」だが、これは文学的なものというより「当時、急激に社会に広まりつつあった共産主義のことを指している」という。
 今ではピンとこないかもしれないが、共産主義は政治的イデオロギーという側面だけでなく、外国から入ってきたハイカラな文化という面も持ち合わせていた。

 強引に結びつければ、今のスマホやSNSのようなものだ。当時の古い文化人にしてみれば、外国から得体の知れないカルチャーが入ってきて、社会に急速に普及しているが、それが何なのか皆目見当がつかない。またどうすればそれについていけるのかも分からない。
 芥川は天才であったが故に、新しい時代が始まることを敏感に察知し、その時代においては、自分が取り残されるかもしれないと悟ったのだという。

人の下で働くことが怖い
 お金持ちの恐怖もこれに似ている。
 資産家の家に生まれたお金持ちはもともとお金を持っているので、そもそも働く必要がない。社会勉強として働いたとしても、それはお小遣いにしかすぎないことを本人が一番よく知っている。会社勤めを経ずに事業を始めた人は、仕事をした経験はあるものの、人の下で働いた経験を持っていない。

 会社勤めを経て実業家になった人も、多くはサラリーマンが嫌で実業家になっているので、そこに安易に戻ることは自身のプライドが許さない。しかも実業家はある種の天才なので、時代の移り変わりに敏感だ。常に自分が時代に取り残されるのではないかと怯えている。
 フツーに仕事をしてきた人にとって何でもないことも、ある種の人には死よりも怖い恐怖なのだ。

 欲しいもののほとんどは手に入れているお金持ちにとって、この恐怖感が唯一のバイタリティになっているケースは案外多い。派手にお金を使うのも、自分にはこれだけ散財できる能力があるのだということを確認する作業なのかもしれない。

 お金持ちと付き合う場合には、このあたりの心理をよく理解しておく必要がある。

伝説的経営者のホンネとは?
 パナソニックの創業者で、今では伝説的な存在にもなっている松下幸之助氏は、もともとは電気工の出身だ。積極的に事業を進めることができた理由として「もしうまくいかなかったら、またペンチを握って電気工に戻ればよい。自分と家族がとりあえず飯を食うだけなら何とかなる」と述べている。

電気工には戻らない!

 若くして出版社を立ち上げ、一代で大きくしたN氏も「いつ事業がダメになっても気にしない」という。「今はお金があるので何でも買えるけど、お金が無いなら無いで、僕は一日中図書館にいって本を読むよ。これで十分楽しめるから」と笑う。

 松下氏やM氏の話にウソはないと思う。人間その気になれば、メシを食うぐらいは何とかなるだろう、という割り切りは大事だ。そこまで腹を据えることで事業を成功させてきたというのも本当だろう。

 だが、資産家向けの税務コンサルタントなどを手がけるF氏によれば、お金持ちの人々のこのような話は「ある程度割り引いて考える必要がある」という。多くのお金持ちにとって、たとえ腹が据わっていたとしても、今の資産や立場を無くすことは「死ぬよりつらいこと」(F氏)なのだ。

 松下幸之助氏もホンネでは、絶対にサラリーマンには戻りたくないと考えてたかもしれない。お金持ちは疑り深いともいわれるが、それもこのあたりに原因がありそうである。

【参考記事】
お金持ちには身の危険がある?
【関連サイト】
なぜあなたは出世できないのか?
投資で成功するために絶対知っておくべきこと
起業・独立で成功するために知っておくべきこと
放射能から身を守る食品サイト
記事にできないホンネを集めた脱力系裏ニュースサイト

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