人を信じることができないと、お金持ちになれない
「信じるものは救われる」という格言もあるが「信じるものは足すくわれる」という名セリフ(ナニワ金融道)もある。
冗談はともかくとして、一般にシビアな競争社会では安易に人を信じると損することが多いのは事実だ。だが一方で人を信じることができないとお金持ちにもなりにくい。
何でも契約書にするコストは甚大
ある中小企業を経営しているE氏はなかなか人を信用しない。この性格が彼の事業には大きなマイナスになっているのだが、本人はあまり気付いていない。
E氏がある商品について販売契約を結んだ時のこと。E氏は契約の相手先企業の社長であるC氏と膝詰めで契約内容の交渉を行った。重要な部分がほぼ固まり、双方握手をして「では始めましょう」ということになった。
C社長「時には金なりですから、明日からどんどんビジネスを進めましょう」
「とはいえ契約も重要ですから、今日の合意内容は覚書にしましょう」
「正式な契約書はビジネス同時並行で作成するというのでいかがでしょうか?」
C社長のこの申し出に対して、E氏は断ってしまった。
E氏「いや。正式な契約書をまず作成したいと思います」
「弁護士に相談して雛形を作成します」
「その後で詳細を詰めていきましょう」
C社長「でも、早くしないと。競合もいることですし」
「覚書も契約として同等の法的根拠になります」
「骨子を示した覚書を先に作るというのではダメなのでしょうか?」
E氏「弁護士に相談しないと・・・」
弁護士はしょせん法律の専門家。丸投げしてはいけない
結局、弁護士が雛形を提出してきたのは2週間もあとであった。しかもE氏は弁護士に契約書の作成を丸投げしてしまった。弁護士はちゃんと指示しないと、法的に抜け道がないようにガチガチに契約書を作成してしまう。弁護士はしょせん弁護士であり実業家ではない。
弁護士が作成した文面をそのまま採用したのでは、細部に齟齬が生じるため事業を進めることができない。
結局、契約書の詳細を細部にわたって修正したりしているうちにあっという間に1ヶ月以上が経過し、その事業は完全に出遅れてしまった。
C社長はその後E氏のところに事業提携を持ちかけてくることはなかった。E氏はこのようにしていつも優良なパートナーを自ら逃してしまっている。
事業や投資などお金に絡んだものごとには、タイミングというものがある。今回のケースではE氏とC社長はトップ同士で膝詰めで交渉し合意に至っている。この期に及んで相手が信用できないというのでは、そもそも提携など成立しないはずである。
だがE氏は正式な契約書と何ら法的には代わらない拘束力がある覚書の締結も拒んでしまった。その背景には、自分の決断に対する自信のなさと、それの裏返しとして相手を信用できないという心理が働いている。
日本の方が実は疑心暗鬼社会?
アメリカは契約社会だといわれる。なんでも契約、契約で弁護士が山のような契約書を作成するイメージがある。だが一方でアメリカ人の意思決定のスピードは尋常じゃなく早い。これは一見矛盾しているが、実はカラクリがある。
アメリカ社会は見ず知らずの人には契約書でガチガチに縛るが、一旦信用すると契約書などなくてもOKという世界なのだ。
筆者もかつてシリコンバレーの起業家と仕事をしたときに、メール1本でほとんど詳細を決めず、信用だけをベースに億単位の案件をガンガン進めるカルチャーに唖然としたことがある。「何かあってもお互い理解しているんだから、その時にちゃんと話し合えばいいさ」という感覚である。
また実際にトラブルが起きてもセコい主張などせず、円満に解決する度量を持っている。
このカルチャーは中華圏にもよく見られるものである。一旦相手を信用すると、巨額の借金も理由を聞かず融通してくれたりする。
もしかすると日本人が一番相手を信用せず、疑心暗鬼になっている民族なのかもしれない。
相手を信用できないと、相手の状況を調査したり、弁護士などの専門家を雇ったりして、中間コストが増大してしまう。何よりスピードが低下し、時間という大切な資源を浪費してしまう。
相手を信用できないことによる社会的なコストがいかに大きいのかは、経営学や経済学など学術の世界でも立証されている。
何でもホイホイ信じるのは愚の骨頂だが、お金持ちになるためには、いざことを進めるにあたって相手を信じきる度量が絶対に必要である。
【参考記事】
「割り勘男がお金持ちになれない訳」
【関連サイト】
「なぜあなたは出世できないのか?」
「投資で成功するために絶対知っておくべきこと」
「起業・独立で成功するために知っておくべきこと」
「放射能から身を守る食品サイト」
「記事にできないホンネを集めた脱力系裏ニュースサイト」
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