権威に逆らうとお金持ちになれる?
フツーの人と同じような常識的で大人しいことばかりやっていては、そうそうお金持ちにはなれない。そのせいか、お金持ちになる人の中には権威に対して猛反発するタイプの人が結構多い。だが権威に対する反発は下手をすると貧乏人へ一直線にもなる諸刃の剣だ。
ジョージ・ソロス氏は国家と戦争して大儲け
世界的な超大富豪である投資家のジョージ・ソロス氏は、通貨当局に金融戦争をしかけて大儲けしてきた。
国家権力と争いになると、合法とか違法などという問題は関係なくなってしまう。国家はその気になれば何だってできる。ソロス氏は勝ったからよいようなものの、下手をすると逮捕で牢屋行きだ。
一説にはソロス氏の国家への対決的な姿勢の背景には、既存の経済学に対する心理的反発があるといわれている。自説が正しいことを通貨戦争で証明するというわけである。
ソロス氏に比べれば少々スケールは小さいが、ホリエモンや村上ファンドの村上世彰氏も同様だ。彼らに対して罪がある、いや無罪だという議論はナンセンスなのだ。公務員にとっては、安定した身分と年金と今の立場がすべて。これが侵されると判断すればどんなことでもする。
アップルの元経営者で最近亡くなったスティーブ・ジョブズ氏は、巷では立派ですばらしい人ということになっているようだが、もともとはヒッピーでガンガンにヤクをやってた人だ。
ベジタリアンだった彼は、風呂に入らなくても体が汚れるはずがないと頑なに信じており、あまりの体臭の臭さに周りが指摘してもそれを認めなかった筋金入りだ(ちなみに彼が以前アップルを追い出された時には、半年間家に篭りっきりで、朝から晩までボブ・ディランを大音響で聞いていた)。
シリコンバレーの本当の姿
ジョブズ氏に代表されるように、シリコンバレーにはとにかく権威に反発する人がウヨウヨしている。なぜそうなるのか?それはシリコンバレーが発達してきた経緯を見れば分かる。
もともとシリコンバレーは軍需企業の開発拠点として整備されてきたエリアである。
権威や国家権力に反発するヒッピーと軍需企業は正反対の存在に思えるのだが、実はそうでもない。
アメリカは国家権力側も相当なもので、天才的な能力を持ち権威に反発する人たちを、軍需企業を通じて囲い込み、その才能を兵器開発に応用するとともに、国家転覆に向かわないようCIAなどが監視してきたのである。
だからインターネットという技術がもともと軍事目的で開発されたことには何の不思議もないのである。Googleは今やCIAを超える情報収集能力を持っているが、当然ウラではいろいろなやり取りがなされているはずである。
Googleの技術は下手をすると国家反逆罪になってしまう。創業者のラリーペイジ氏とセルゲイブリン氏は、今のように世界的億万長者でヒーローとなるのか、牢獄行きになるのかどちらかなのだ。
同じ図式は日本でも当てはまる。起業家として活躍してお金持ちになった人の中で、元左翼の活動家という人は結構多い。
学生運動をやりすぎてまともな会社には就職できず、かといって革命が起こるわけでもない。怒りの矛先は、既得権益を持ち、ラクして給料を貰う公務員や大企業の社員に向かう。この仕組みをブチ壊すベンチャー企業を創業してやれというわけだ。
左翼活動とは異なるが、悲惨な戦争体験から既得権益層に対する反発心が芽生え、事業拡大という野心に転じるケースもある。ダイエー創業者の中内功氏はその典型である。
中内氏は、一兵卒としてフィリピンに赴き奇跡的に生還した。
日本軍が飢えとモノ不足で生きるか死ぬかという状態の時に、アメリカ軍の兵隊がアイスクリームマシンを使ってアイスを食べているのを知り衝撃を受けた。
戦後はこの体験をバネに、官僚主導の国家統制経済に真っ向から反発し、消費者が主役の巨大流通グループの育成に狂ったように邁進していった(もっとも中内氏はやりすぎて失敗し、晩年には全財産を失ってしまったが・・)。
資産家の静かな抵抗
実業家は権威への反発を激しい形で表面化させるが、資産家はもう少しスマートな形で国家権力に反発する。
現在、日本の財政は極度に悪化している。欧州情勢など他の要因があるので表面化していないものの、経常収支の悪化と国債価格が下落は、もはや時間の問題となっている。
本来は日本の仕組みそのものを変えていかなければならないのだが、それには痛みが伴う。公務員や規制に守られた大企業の社員にとっては、今までのおいしい立場を失うことを意味している。結局のところ、安易な増税や、規制に頼る政策ばかりが通ってしまう。基本的に資産家には不利な状況といってよい。
事業を持っていない資産家は身軽である。将来の日本の財政の悪化を見越して、密かに資産を海外に移し、より有利な運用を行う資産家が増えてきているのだ。世界に分散投資する資産家のメンタリティーはコスモポリタンそのものである。これも静かな形の既得権益層への反発心といえるだろう。
このように権威への反発心は、転落と紙一重ではあるのだがお金持ちへのパスポートでもある。あなたは学校時代など、教師や地域のエライ人、警察官などに対してどういう感情を持っていたであろうか?
反発心があった人ならお金持ち候補かもしれないし、転落人生まっしぐらかもしれない。権威に従順であった人は、お金持ちには遠いかもしれないが、安定したサラリーマン人生を送れるだろう。果たしてどちらが幸せだろうか?
【参考記事】
「元祖ホリエモン。福沢諭吉の義理の息子は毒舌拝金キャラ」
【関連サイト】
「なぜあなたは出世できないのか?」
「投資で成功するために絶対知っておくべきこと」
「起業・独立で成功するために知っておくべきこと」
「放射能から身を守る食品サイト」
「記事にできないホンネを集めた脱力系裏ニュースサイト」
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